“ほめる”は金銭的報酬にも匹敵

“ほめる”に効果あり

「鼻先にニンジンをぶら下げる」という慣用句がありますが、人は現金なもので、モノやお金がもらえるとなると、はりきってしまう生き物です。会社では社員たちに、家庭では子どもに、やる気を出してもらって業績や成績を上げてもらうために奮発だ! とは思いますが、元手の要ることですからそう簡単にはできません。

しかし、朗報です。金銭的報酬にも匹敵するものとして“ほめられる”ことに効果があるという研究結果が、米国科学誌『プロスワン』上で発表されています。「ほめると伸びる」というのは、なんとなくではなく、科学的裏付けのあるものなのです。

科学的根拠が示された!

この研究は、人は運動トレーニング中にほかの人からほめられることで高い運動技能が得られることを証明したもので、自然科学研究機構生理学研究所の定藤規弘教授と菅原翔大学院生(総合研究大学院大学)、名古屋工業大学の田中悟志テニュア・トラック准教授の研究グループと、東京大学先端科学技術研究センターの渡邊克巳准教授との共同で行われました。

実験では、まず48名の成人に連続的なキーボード操作をするという、指運動トレーニングを覚えてもらいます。その後、「自分が評価者からほめられる」グループ、「他人が評価者からほめられるのを見る」グループ、「自分の成績だけをグラフで見る」グループの3つに分けて、グループごとにそれぞれの評価が与えられます。さらに翌日、指運動テストの実測値を計ることで、“ほめられる”ことの効果を比較するというものです。

指運動テストの結果は顕著で、自分が評価者からほめられたグループは、ほかのグループに比べて、より“上手”に指運動ができていました。運動トレーニングをした直後にほめられることで、運動技能の習得を促したことが証明されたのです。定藤教授は「“ほめられる”ということは、脳にとっては金銭的報酬にも匹敵する社会的報酬であるといえるのです」と指摘しています。

まずは形から入る「ほめる」

金銭的報酬を与えるのは躊躇しても、「ほめるだけならできそう」と思った方も多いのではないでしょうか。しかし、思いのほか“ほめる”ことが定着している人は少ないものです。私などは、つい、いいところよりも悪いところ、足りないところが目についてしまいがちで、いつも反省しています。“ほめる”のもなかなか大変です。

難しく考えることなく、「いいところをみつけて、ほめて完了!」なんですが、ただ、ほめる言葉や内容によっては相手に響かない心配もあるから厄介です。そこで! 手っとり早く“ほめる”をその後の効果につなげるには、トロフィーがおすすめです。何事もまずは形からというではありませんか。実は、トロフィー、意外性もあって、喜ばれるアイテムなんです。試してみてくださいね。