“無意識”を意識させる!? 「ほめる」効果

無意識について考えてみる

今このときも、考えたり、判断したり、うれしかったり、悲しかったり、悩んだり、不安になったり――、私たちは日々さまざまなことを思って生きているわけですが、自分だけにしかわからない自分のこの感覚を不思議だと思いませんか? 自分が何をしているのか、どんな状況なのかを認識する心の働きを「意識」といいます。自分のすべてであるような意識ですが、せいぜい脳パワーの1割程度の働きでしかないといわれています。残りの9割は「潜在意識」といって、活動はしているけれど自覚していない部分。無意識の領域です。

これはよく氷山に例えられるのですが、海上にわずかに表れている氷山の一角が私たちの自覚している「顕在意識」。海中に沈んでいる部分が「潜在意識」で、つまり意識の大部分が無意識に占められているというものです。

9割の部分をもっと活用できたら、なりたい自分になれるかも!? なんていうのが、よくある潜在意識のお話しです。胡散臭い自己啓発のお誘いではありませんのでご心配なく(笑)。トロフィー生活のテーマ「ほめる」が多いに関係しています。今回は「潜在意識」が私たちの行動にどのような作用を及ぼしているのか考えていきたいと思います。

潜在意識は膨大なデータベース

潜在意識は、これまで体験してきたことが蓄積されている膨大なデータベースと言われます。生まれてこのかた、見たり聞いたりしたこと、受けた印象、考えたことなどが記録されています。そして私たちが何かを考えたり、行動を起こしたりするとき、以前の経験などが自動的に潜在意識から検索され、情報が顕在意識にフィードバックされて私たちの思考や行動に反映されます。ですから、潜在意識がポジティブであればプラス傾向に、ネガティブであればマイナス傾向になるといえます。無意識に行われていて自覚はないものの、私たちに大きな影響を与えているのです。

これまでの経験や思考がその人を決めていく

子どものころに繰り返し聞かされた言葉に今も縛られているということはありませんか? 例えば、「あなたは不器用ね」「飽きっぽい性格なんだから」などと否定的な言葉を投げかけられ続けていたために、自分は不器用で飽きっぽい性格だと思ってしまっているとか……。本当にそうなのでしょうか。実はそんなに不器用でもなかったけれど、レッテルを貼られてしまったがために結果的に苦手になってしまったのかもしれません。

これは現在進行形です。大人になった今でも「仕事が遅い」「何をやらせてもダメだ」「気が利かない」など否定的な言葉を投げかけられると、知らず知らずのうちにマイナスなイメージが潜在意識の中にインプットされてしまいます。そうすると自分は何をやってもダメだ……などの内向きな思考や行動になりがちです。これは、本人にとっても、周囲の人やビジネスであれば会社にとってもいいことではありません。

「ほめる」「ほめられる」に効用あり

では、逆にほめられたらどうでしょう。無意識の部分がポジティブになり、前向きな思考や行動が促されることになります。「そんなことをいっても、ほめるところがない人もいる」なんて言わないでくださいね。実は前述の否定的な言葉も肯定的に捉えることもできます。「仕事が遅い」ということは「仕事がていねい」なのかもしれません。「何をやらせてもダメだ」という言葉は一面的な見方でしかなさそうですし、「気が利かない」のは「物事に動じない」といえなくもありません。同じ事柄でも言い方によっては「ほめる」につながります。そして「ほめる」ことで、自分や相手の無意識の部分を変えられるかもしれないのです。それこそ肯定的な言い換え言葉は潜在意識にインプットしておくといいですよ。“無意識”を意識してみませんか?