仕事への「愛着心」を育てるツール

会社に行くの楽しみですか?

ラジオから流れてきた「明日、会社に行くの楽しみですか?」の問いかけに、何とはなしに自分はどうだろうかと考えてみました。仕事自体は、興味をもって取り組める内容だし、悩みもありますが達成感もありという日々を過ごせているので、仕事に行くのはイヤではないです。しかし、「楽しみか?」といわれると違うような……。私としては、「明日は休み!」のほうが断然、やっぱり楽しみです。

番組サイトでアンケートもとっているというのでアクセスしてみたところ、「はい」と答えた人(明日、会社に行くのを楽しみにしている人ですね)は17.9%。逆に「いいえ」と答えた人は82.1%でした(TOKYO FM「Skyrocket Company」2016/10/26社会人意識調査より)。なんと10人中8人は楽しみじゃない! やっぱり、そんなもんですよねー。

でも私の場合、生きる糧ですし、おまけにやりがいも感じているので、楽しいとは違うけれど続けたいと思います。しかし、そうではない人も多いのかもしれません。というのは、「今の会社でずっと働きたいと思いますか?」(同調査の2016/09/28より)というアンケートには「はい」が40.1%。「いいえ」が59.9%。どうやら多くの人は、何か違うと思って勤め続けているようです。

転職に対する考え方の違い

転職したいと考えている人が潜在的にいそうな日本ですが、それとは反比例して従業員の勤続年数は海外と比べても長いというデータがあります(図1参照)。一般に日本では、転職を繰り返していると印象があまりよくないので、一つの会社で長く勤めたいという想いが伝わる結果です。転職の回数が多いと、「忍耐力がなさそう」「飽きっぽい」「個人に問題があるのでは?」という風潮もありますよね。

図1 国際比較:従業員の平均勤続年数

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出所:労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2016』2015年10月現在

一方、転職大国といわれるアメリカですが、平均勤続年数は4年6カ月となんと日本の約3分の1の短さです。転職への見方もまったく違うようで、転職頻度が高いアメリカにおいては、1社に長い間働き続けている人材は「順応性が低いのでは?」「仕事ができないから転職先が見つからないのでは?」と思われてしまうようです。ところ変わればといいますが、日本とは正反対ですね。

アメリカ人の“やる気”がスゴイ

アメリカの働き方で聞くのは、自分の職種が決まっていて、自分の仕事がある職場を選んで働くスタイルです。その会社でのその仕事がなくなれば、次の職場へと躊躇なく転職するとういことです。日本人社会に生きている私としては「疲れそう」が先に立ちますが、仕事としてのやりがいはありそうです。実際にアメリカでは、多くの欧米企業が注目する「従業員のエンゲージメント」も高いというデータが出ています。エンゲージメントとは、組織の成功への貢献に対する従業員の動機づけ、主体性の度合いを示す指標で、いわゆる組織に対する「愛着心」「思い入れ」を示す感情的な尺度のことをいいます。従業員の居心地のよさというわけではないので、従業員満足度はまた違うものです。念のため。

このエンゲージメントの国際的な比較調査によると、アメリカは59%と最も高いレベルとなっています。対して日本は31%(アメリカの人材コンサルタント会社「ケネクサ」調査)。日本企業の社員のエンゲージメントレベルは、主要8カ国(G8)の中でもかなり低い傾向が指摘されているのです。

エンゲージメントの高い社員は、仕事に深い関心や情熱を持ち、仕事に対してポジティブな感情を持っているといわれています。一方、エンゲージメントの低い社員は、仕事への関心が薄く、やる気がないといわれ、必要最低限の仕事しかしないとか……。それにしても、アメリカの人のやる気は半端ないです。

自分の仕事に愛着を持つということ

日本人も「やりがい、働きがいを求めて、どんどん転職してチャレンジすべきだ」ということは簡単です。でも、そもそも文化や風土の違いがあるので一概にはいえませんよね。もっと身近に解決方法はないでしょうか?

冒頭のラジオ番組の意識調査の話しに戻りますが、「自分の仕事、ちゃんと評価されていますか?」という問いかけに答えの一つがあるのではないかと思います。「はい」53.6%、「いいえ」46.4%(同調査の2016/10/12より)という結果で、2人に1人は評価してもらっていないと感じているというのです。もし今いる場所(会社や仕事)で評価してもらえる人が増えたら、組織や自分の仕事へのエンゲージメントは上がるのではないか? なぜならば、表彰関連の仕事をしていて思うのですが、トロフィーをもらうことは、考えている以上に自己肯定感をもたらしてくれるものなのです。自分の仕事に対する自信を持つことは、会社や組織への愛着心を持つことにもつながるはずです。

こんなところにもヒントがありました! アメリカなどの海外ドラマでは、職場の自席に家族の写真はポピュラーなシチュエーションですが、実は目を凝らしてみるといろいろなトロフィーも飾られているではありませんか。家族の写真同様に、アメリカでは表彰文化が当たり前なんですよ。これも高レベルのエンゲージメントを維持しているアメリカの秘訣に違いありません。転職はおいそれと真似できなくても、表彰制度を取り入れることはできそうな気がしませんか?