(有)立川徽章がスタートラインに! いよいよ出発の時!
さて、ここまで、がんさんには大きな迷いもなく…そして、ふみさんも若さが良い味方となり、大きな不安もなく…
と言いますか、がんさんとふみさんは前しか見ていなかったのだろうと思われます。それが良かったのです。あれこれ考えたらスタート出来なかったと思います。ただ、
【え~い!とりあえず飛び出しちゃおうぜ!】
う~ん、それとも違うんですね。なぜなら、がんさんは身長は高く、声も大きいし、やる事も大胆でしたが、実は繊細で無茶をする事はなかったんですね。口にはしなかったですが、相当な計画がそこにはあったと思います。がんさんとふみさんは路頭に迷ってはいましたが、自分たちにはこの道しかない、いや、この道を歩いて行きたいんだと言う強い気持ちが二人にはありました。ですから、不安が全くなかったのでしょう。
家賃・仕入・人件費・経費等 1ヶ月の出費に対応する売上は最低これくらいと数字を定め、まずそこから動き始めました。幸いな事にがんさんとふみさんは、二人とも簿記2級を持っていました。そして二人とも生きていく為の資格として簿記をとったのではなく、高校・大学と卒業するまでの過程でたまたまとらなくてはいけない状況にあっただけなのです。それが偶然にも、がんさんとふみさんは同じだったのです。それが、ここで役に立つ、いえいえこれからず~と大切な知識として要求される事になるとは、人生不思議です。誰かが、がんさんとふみさんの将来を知っていて、簿記の資格をとる時間を与えてくれたとしか思えません。
家 族 の 様 な 5 人
前回、②で工場長・八代さん、越山さんを紹介しましたが、5人はこの廃墟で出会ったばかりのはずですが、なぜか最初から家族の様な雰囲気になりました。みんな、がんさんを信じ、がんさんがやり易い様にそれぞれの立場で支え、5人でひとつの様な関係がありました。特に若いふみさんには3人は心強かったはずです。
工場長 トロフィーの組立・発注・作業のすべての責任
八代さん 工場長の補佐・トロフィーやカップのリボン付け・プレート張り・包装
八代さんは手仕事は何でもやってくれました。
越山さん 免許はまだなかったので、事務所で電話番、事務的な事をすべて担当
この時、まだ大学生だったかと…いつ大学行ってたかしらと思うのですが
ただ、4年生だったので…間違いなくその後卒業しました。
がんさんとふみさんは営業担当です。つまり仕事をとって来なければ3人の仕事はありません。ふみさんは当然、営業の経験もなければ、車の免許もありませんでした。
営 業 開 始 !
まず、ふみさんはDM作戦です。ひたすら葉書を書きました。立川市を中心に営業可能な地域を割り出し、書く、書く、
書く、です。越山さんも手があくとひたすら書いていました。がんさんは中古で買った白いバンでひたすらスポーツ屋さんを中心に外回りです。徽章屋は都内には沢山ありましたが、三多摩では比較的少なかったのか、反応は比較的早くやってきました。電話で一度来て欲しいと言う電話が日に日に増えてきました。がんさん一人では対応できなくなるまでになると、ふみさんは電車で行く様になりました。行くのはいいのですが、ふみさん、営業した事ありません。がんさんに基本的な事を聞いては、勇気をもってスポーツ屋さんのドアを開けました。しかし、嫌な思いをした経験は一度もありませんでした。当時のスポーツ屋さんの社長さん…と言いましても当時はまだ街の小売専門の数人のお店が多く、どこへ行ってもむしろまだ若かったふみさんを、厳しく扱う店主などおりませんでしたね。
一番印象的だったのは、近郊の市のスポーツ屋さんの社長さんは、その後、何十年経っても会う度に
【 最初さあ、がんさんが来てたら取引始めなかったよ、ふみさんが来たから始めたんだよなあ 】
まあ、この社長、有難い事に会う度に楽しそうに言ってくれました。またか~と思うほどでした。
でも、知識のないふみさんをそんなふうに受け入れてくれる社長さんも多く、辛かった思い出はふみさんにはなさそうですよ。何年経っても、暖かい社長さんたちの顔を忘れる事はないとがんさんに後々話した様です。がんさんも同じだった様です。良い時代だったのか、良い土地柄だったのか、笑顔しか思い出せません。
そして、越山さんとふみさんは車の免許をとる事を決めました。最初は越山さん、そしてふみさん。越山さんが営業に回されそうですよ。無口でおとなしい越山さん、大丈夫かな~。
そんなこんなで、少しづつお客様が増え、みんなが忙しくなり始めたのですが、小さな試練?、いや当然の試練?が5人にやってきました。
この廃墟に隠された様々な事が現れ始めました。
結論!【野良猫・雨漏り・虫】の3点盛りです。
この廃墟よ、わかってたでしょ? がんさん! ふみさん!
工場長、八代さん、越山さんはわかってこの廃墟に来たのかな~。「嫌だ!」と言って辞めちゃうかも知れない。
でも、これも5人は笑って乗り越えるんです。信じられない! 会うべきして会った5人としか思えません。
この3点盛りにも、いろいろなエピソードがあるんです。書きたくて仕方ないのですが、我心から消える事はないので、次回④でありのままを書きたいと今からわくわくします。本当に素敵な人たちです。