「FIFAワールドカップトロフィー」はイタリア発

4年に1度のサッカーの祭典、FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ。日本でもおおいに盛り上がりを見せ先日幕を閉じた2018年ロシア大会では、フランスがクロアチアを破って5大会ぶり2度目の優勝を決めた。優勝トロフィーを頭上に掲げて狂喜するフランス代表選手らの画像が世界中に配信されたが、これぞトロフィーの本懐である。

さて、本題。この超有名なトロフィーをデザインしたのはイタリア人だという。さすが「VIVA!イタリア」。ということで今回は「FIFAワールドカップトロフィー」の話題にふれたい。

ワールドカップトロフィーの権威

サッカー大会の最高峰といわれるFIFAワールドカップは、オリンピックを凌ぐ世界最大のスポーツイベントである。1930年に第1回大会がウルグアイで開催されて以降、第二次世界大戦による中断を経ながらも、今回のロシア大会で第21回目を迎えている。

そして今や「FIFAワールドカップトロフィー」は、計り知れない価値とありがたみを持つ存在になっている。

これにはFIFAのトロフィーに対する厳密な方針も関係している。優勝国のチーム以外では国家元首しかさわることが許されておらず、修復や研磨、刻印、レプリカ製作の一切がトロフィーを製作した会社でしかできない。

本物は、ワールドカップの表彰シーンで授与されるとき以外は、FIFAが所持。優勝国には、真鍮に金メッキを施した原寸大のレプリカが授与される仕組みになっている。

優勝国が持ち帰ることのできるレプリカ自体も1大会につき1つという厳格さだ。例えば、チームの個々人へのレプリカ作製も厳禁である。

「FIFAワールドカップトロフィー」は、トロフィー本来の意味である戦勝品にふさわしく存在しているものの一つといえる。トロフィー生活のスタッフとしても、トロフィーの在り方についてぜひ参考にしたいと思うほどだ。

初代トロフィー「ジュール・リメ杯」

トロフィーは現在3代目となっているが、まずは初代トロフィーから振り返ってみよう。

初代トロフィーは、勝利の女神ニケが八角形のカップを支えるデザインで、フランス人彫刻家のアベル・ラフールによって製作された。金メッキされた純銀製で、高さ35cm、重さ3.8kg。FIFAワールドカップ開催に貢献したフランス人ジュール・リメの名が冠され「ジュール・リメ杯」と呼ばれている。

この「ジュール・リメ杯」については、1970年のワールドカップで3回制覇を成し遂げたブラジルが永久保持の権利を得て自国へと持ち帰っている。ただ、不遇なことに2度の盗難事件に巻き込まれて行方不明となってしまっているという。現在ブラジルで飾られているものはレプリカである。

一般公募されたトロフィーデザイン

永久譲渡となった「ジュール・リメ杯」に代わるトロフィーとして、FIFAは2代目トロフィーのデザインを一般公募。7カ国から53の候補が集まった。

その中で選ばれたのが、イタリア人彫刻家のシルビオ・ガザニガのデザインである。両手を挙げてゴールを喜ぶ競技者2人が地球を支える姿をトロフィーの形に落とし込み、台座の2層の緑色部分にマラカイト(孔雀石)を用いた象徴的な造形だ。サッカーワールドカップのトロフィーと聞けば、万人が思い浮かべられるほど有名になった。

このトロフィーが2代目の「FIFAワールドカップトロフィー」として、1974年のワールドカップから2005年まで使用されたが、アジア大陸への若干の修正が施されたため、2006年には現在の3代目トロフィーとなった。この改良で、18金製、高さ36.8cm、重さ6.175kgと大きく重くなったが、意匠はほとんど変わっていない。

ちなみに優勝トロフィーを持ち運ぶ専用トラベルケースは「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」製作だ。もっとも有名でゴージャスなトロフィーなのかもしれない。

日本でないならイタリアへ!

「FIFAワールドカップトロフィー」はイタリアからやってきたものだが、ロシア大会では肝心のイタリア代表の姿はなかった。予選で敗退し、1958年以来、15大会ぶりにワールドカップへの出場を逃してしまっていたのだ。「FIFAワールドカップトロフィー」は、優勝国の名前を刻印するためにイタリアのトロフィー製作会社に帰るというのになんという皮肉な結果……。

でも、次があるさ!

イタリア贔屓のトロフィー生活としては、4年後のカタール大会で「FIFAワールドカップトロフィー」が日本にこないなら、ぜひイタリアへ里帰りしてもらいと思うのであった。

アイキャッチ画像:Logo写真Freepikによるデザイン